アンネの薔薇
先月半ば、日曜日のミサ後、教会玄関の花壇の手入れを数人の方がしてくださった。Tさんはうっかり薔薇の木のトゲに手を出してしまい、血だらけに。おまけに口元に手を持っていってマスクも血だらけに。敷地内には古井戸もありまるでキモダメシのように。
聞くところによると、Tさんが怪我をしてしまった薔薇は、数年前にK教会のYさんが寄贈くださった薔薇だということ。アンネ・フランクの父、オットー・フランクさんから日本へ2回目に贈られた薔薇を接ぎ木したものだとか。
折しも、波乱ずくめの東京五輪が始まろうとしていた矢先、過去にホロコーストを笑いのネタにしていた五輪関係者がいたことが明るみに。出来事への痛みを共感できないということか。強きものが弱きものを平気で蹂躙できる世の中は昔も今も変わっていない。
雑草の中に埋もれていたアンネの薔薇。Tさんの痛い思いで再認識されたこの薔薇は、また黄色の花を咲かせてくれるだろう。人を殺戮することまで正義と化してしまう戦争の恐ろしさと犠牲になった人々の痛みを、この薔薇と一緒に共有し、同じことが繰り返されないよう、自分自身へも伝えていくことができますように。
« となりびとの名前 | トップページ | 心にもワクチンを »
「三田教会」カテゴリの記事
- 強いものが下に 弱いものが上に 子どもはてっぺんに(2025.03.01)
- 居場所(2025.02.01)
- “たかとり”震災語り ⑤ 追悼と新生のはざま(2025.01.01)
- “たかとり”震災語り ④ 神戸少年の町(2024.12.01)
- “たかとり”震災語り ➂ たかとり救援基地(2024.11.01)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント