強いものが下に 弱いものが上に 子どもはてっぺんに
カトリック施設や学校など、設立理念には必ず「キリスト教精神に則り」などと書かれてあるのだが、なんだかよく分からない。大人から子どもたちへ何か大切なものを伝えようとしているのだろうか。しつけのための信用度を増すために使われる言葉なのだろうか。いや、逆じゃないのか。子どもたちの側、弱きものの側に立って世の中を見つめなおし価値観を見直していくことがイエスの生き方ではなかったのか。
アメリカ、ネブラスカ州に少年の町(Girls and Boys Town)がある。1917 年にエドワード・ジョゼフ・フラナガン神父によって創設された児童自立支援施設だ。「悪い子どもは、いない。ただ悪い環境と、悪い学習があっただけです」と、行き場のない子どもたちを受け入れ、子どもたち自らが自治を行う村へと成長した。
フラナガン神父は、第二次世界大戦後、戦災孤児などへの対策で GHQ から招聘を受け来日した。神戸で佐々木鉄治神父に出会い、少年の町創設を勧め、1948 年に神戸少年の町(Kobe Boys Town)が設立された。「ありがとう、みんな仲良く、社会のためになるように」と創立者が残した言葉によって、奉仕(Kindness)、兄弟愛(Brotherhood)、感謝(Thanks)の三つの柱を大切にしてきた。
フラナガン神父の少年の町に感化され、スペインのオレンセ町に、ヘスス・シルバ・メンデス神父によって、1956 年に少年の町(Ciudad de Los Muchachos)が設立された。「貧しく、弱い人たちこそがのびのび生きられる世界をつくろう」との理念の元に、子どもたちが自治を行うベンポスタ子供共和国へと成長した。ベンポスタ国際サーカス学校を設立し、サーカス団を結成。世界中でこどもサーカスを披露し、「強いものが下に 弱いものが上に 子どもはてっぺんに」のメッセージを世界へ届けてきた。
20 世紀に入り、少年の町として引き継がれてきた「キリスト教精神に則り」はこのベンポスタのメッセージにたどり着いてきたと言ってもいいのではないか。
神戸少年の町(Kobe Boys Town)は今日(3/1)から、児童家庭支援センター(Child Harbor Kobe)がスタートする。「強いものが弱いものを支え、子どもたちの未来をつくる」
さぁ、地域社会へと、飛び出そう!
三田教会 神田裕