エデンの園のりんご
エデンの園に生えていた“善悪の知識の木の実”を食べて楽園から追い出されてしまったアダム(土)とエバ(命)の物語。その禁断の果実はすっかりリンゴだと思っていたのだが、聖書には果実と書かれているだけだ。物語の時代的にも地域的にもそこにはリンゴはない。どの果実であったのかはどうでもいいのだが、あるとすればイチジクかザクロかブドウなのか。
なぜリンゴと思っていたのかと気になって調べてみた。なんと中世の頃のヨーロッパでのラテン語の言葉遊びが原因だった。リンゴは“malum” 悪も “malum”なのだ。当時の画家たちがその言葉遊びをイメージして物語の絵を描いたのでこの木の実はリンゴとされてきた。なぜリンゴと悪が同じ言葉なのか腑には落ちないのだが、赤い実が誘惑的なのかもしれない。万有引力を気づかせてくれたのはリンゴだった。そういう意味ではリンゴは何かと秘密を知るに魅力的な果実かもしれない。
リンゴを食べるには口を大きく開けて丸かじりが何となく理想的だが意外と難しい。お皿の上にリンゴを置いて等分してから皮を剥いて食べる。丸のままのリンゴの上からナイフの刃を当てて一気に皮をらせん状に剥いてから等分に切って食べる。
そんなリンゴの皮の剥き方が危ないと注意された外国人女性がいた。リンゴを左手に持ち、右手でナイフの刃を外側に向けて握り、右手の人差し指でガイドしながららせん状に剥くのだ。そばにいる人にとっては刃がこちらに向いているので危ないと思ったのだろう。そんなリンゴの剥き方があること自体知らなかった。私は、幼い頃から教わったままに、ナイフの刃を内側に向けて親指でガイドし皮の厚みを見ながらリンゴを剥く。彼女は、刃を自分に向けている方が危ないと言っていた。言われてみればそうも言える。
りんごの剥き方、食べ方だけでも文化によって色々とある。ナイフとフォークで一口ずつ食べるところもある。お上品な食べ方だなと思う。ピーラーで剥くところもある。スピード重視だと聞くとなるほどなあと思う。それは優劣や良し悪しではない。そこにあるのは違いがあるだけで、リンゴ一つとってみても想像を超えて色々あって豊かだ。
リンゴは色々と気づきを与えてくれる。エデンの東から、その引力によって再び“命の木”に近づけてくれる “多文化な知恵の木の実”なのだ。(^_^)v
三田教会 神田裕

