りくりゅう
灰の水曜日(今年は2/18)から今年も四旬節が始まりました。復活祭(今年は4/5)までの40日間、祈り、節制と回心(主に立ち返る)につとめます。それはイエスが荒れ野で40日間断食をしたことに由来します。その時“悪魔”がイエスを「誘惑」します。悪魔と人格化されていますが、人間を神から引き離そうとする力のことです。
聖書(新約)はギリシャ語で書かれています。「誘惑」のギリシャ語原文は“peirasmos”です。ペイラスモスと発音します。身近な意味では「テストする」ということになりますか。聖書の中では二つの意味で使われています。一つは「誘惑」として、そしてもう一つは「試練」としてです。人生の歩みの中で苦境に立たされた時に、その出来事を「誘惑“peirasmos”」として受け止めるのか、「試練“peirasmos”」として受け止めるのかで未来は大きく変わっていきそうです。
イタリアはミラノとコルティナで冬のオリンピックが開催されていました。特に興味もなくテレビも見ていなかったのですが、ニュースで「大逆転の金メダル」と騒がれていたので何気にネットでみました。フィギュアスケート ペアのことでした。最後の演技が映し出されていました。解説の方の語り口にもよったのですが、画面にくぎ付けになっていました。私みたいな素人が俄かに見ても「すごいな!」と涙が止まらず感動してしまいました。二人は一体となっていました。
前日の演技では彼(りゅう)が失敗をして5位となったそうですね。その日の演技を終えてから彼は意気消沈し言葉もなくずっと涙し「これですべては終わった」と思っていたそうです。いつもは力強く引っ張る側であった彼の初めてのこの弱音に、彼女(りく)も戸惑ったことでしょう。次の日の朝、彼女は 「今日はメダルのためではなく あなたのために滑るよ」と決意の一言を発した。その一言が、彼の中で共振し、「互いのために滑ろう」とやっと声に出せたという。すべてが終わったという「誘惑“peirasmos”」から すべては終わっていないという「試練“peirasmos”」へと変わっていく瞬間だったのでしょうか。
長い人生の中で否が応でも出会ってしまう苦難というものを、“悪魔”からと受け止めれば、すべては終わったと自分を押しつぶす圧迫 つまり 「誘惑“peirasmos”」となってしまう。“神”からのものだと思えるのなら、希望は消えず、飛躍のための「試練“peirasmos”」となる。そう思えるのなら生きる力も湧いてくる。何があっても神から離れずという “信仰”を持って生きるということの本来の姿のようですね。
ミラノ・コルティナ2026オリンピックの忘れられない物語となっていきますね きっと(^_^)v
三田教会 神田裕
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